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2005年08月13日 静岡新聞
【「糖鎖」の働き解明へ - がんや感染症に関与 - 】
ゲノム、タンパク質に次ぐ“第三の生命因子”
実用重視の研究に期待
厚生労働省は二十三日までに、ゲノム(全遺伝情報)、タンパク質に次ぎ、さまざまな生命現象を引き起こす第三の因子「糖鎖」の働きを解明する研究に取り組むことを決めた。
糖鎖は、ブドウ糖や果糖などの糖質が鎖状に連なって、前身の細胞の表面に枝のように突き出ているもの。体を形づくるタンパク質に結合して多様な機能を持たせるほか、細胞同士の認識や作用、がんの転移や病原体の侵入にも関係する。
研究が進めば、がんや感染症の予防、治療法の開発につながり、人工臓器の実用化や再生医療など幅広い分野に役立つと期待される。厚労省は、研究班を設置し、二〇〇六年から三年間をめどに研究を進める計画。
生命の設計図といわれるゲノムの完全解読は〇三年四月に終わり、次世代の
研究として、遺伝子が作り出すタンパク質の半分は
糖鎖が付いた糖タンパク質の形で存在。生体内の反応は遺伝子、タンパク質だけでは解明できず、
糖鎖の重要性が認識されてきていた。
例えば
インフルエンザやコレラ、病原性大腸菌O157などの感染症では、病原体や毒素が特定の糖鎖に結合して病原性を発揮する。がんになった細胞は糖鎖の構造が変わり、転移しやすくなることも分かってきた。臓器移植での拒絶反応や、胎児期の臓器の発生、成長と老化にもかかわっているとされる。
ABO式の血液型も糖鎖の違いで決まっている。
研究では、数千種類とみられる
糖鎖の構造の分析や、
糖鎖を作り出す遺伝子を利用した機能解析に取り組む。
糖鎖の働きを阻害したり、正常化したりして病気を予防、治療するのが狙いだ。
厚労省は「外国に先んじて
研究を進め、画期的な医薬品の開発など生命科学で国際競争力を強化したい」としている。
谷口直之大阪大教授(
糖鎖生物学)の話
糖鎖を解明しないと、人間の体のことは分からない。データの集積や情報交換、専門の
研究者育成を進めなければならず、本来は国立の専門
研究機関を設立し組織的に
研究することが必要。しかし系統的、総合的な国の資金援助がない。厚生労働省の今回の取り組みは決して早いとはいえないが、病気の治療は診断、新薬開発など実用面を重視した
研究が進展しそうだ。
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