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ここまで分かった糖鎖の働き

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2002年02月16日 朝日新聞

【ここまで分かった糖鎖の働き】
【異常が病気の引き金に】


生物がエネルギー源として利用している糖。いろいろな糖が鎖状に連なった糖鎖は、たんぱく質や脂質にくっつき、生物の構成要素にもなっている。糖鎖の異常が原因で病気になったり細胞の運命を決定づけたり、多様な働きがわかってきた。

細胞の運命にも関与

糖鎖は、細胞の構造を保ち、安定させる役割も果たす。筋肉細胞の膜には、糖鎖がついたたんぱく質があり、糖鎖の部分で細胞の外の分子とつながることで、構造を安定に保つ。構造が不安定になると筋肉は働けなくなる。

東京都老人総合研究所の沿道玉夫・糖鎖生物学部門研究室長らがこの糖鎖を調べたところ、酵母ではよくあるが、ほ乳類ではめずらしいものと分かった。そこで、この糖鎖合成必要な酵素の遺伝子を突き止めた。
この酵素遺伝子に異常があると、全身の筋肉が低下する筋ジストロフィーの1種「MEB病」になることも、大阪大の戸田達史教授(遺伝学)らとともに突き止めた。 「この酵素遺伝子は神経でも働いているので、異常があると神経系にも症状が出る」と遠藤室長は話す。

一方、受精卵から細胞分裂が始まり、さまざまな役割を果たす細胞へと分化していくが、「細胞の役割を決める運命づけにも、糖鎖が重要なことがわかってきた」と古川鋼一・名古屋大教授(生化学)は話す。
ネズミの神経系の培養細胞に、神経成長因子を加えると、突起が伸びて神経細胞になる。ところが、ある糖鎖をつくる酵素遺伝子を過剰に働かせると突起が伸びなくなることがわかった。そればかりか、細胞の増殖速度が上がることを古川教授らは確認した。
発生過程で神経細胞の増殖が盛んになるときにも、この遺伝子は働く。

細胞が特殊な役割を果たす分化に向かうのか、そのまま増えるのかという運命決定に、糖鎖が一役買っているらしい。
細胞を見分けるのにも糖鎖が働いている。
細胞表面の糖鎖は洋服にたとえられる。
征服で職業が見分けられるように、細胞糖鎖でお互いを認識する。動物の臓器を人に移植する際にも動物固有の糖鎖が異物として認識され、拒絶反応を起こす。
入村達郎・東大教授(薬学)らは、多数の糖鎖がついたムチンと呼ばれる分子に注目する。 ムチンは消化管などの粘膜にくっつき、表面を保護して潤滑にする。糖鎖は微生物によって見分けられ、侵入の足場にもなる。ムチンのどこにどんな種類の糖鎖がつくのかにより、ムチンの構造の多様性は無限に近い。

細胞表面にバーコードがついているようなもの」と入村教授は言う。
バーコードを読むのに生物は「レクチン」という分子を使う。糖鎖の構造が変化すると、結合相手のレクチンが変わる。がん細胞に特有のムチンには、特定のレクチンがくっつく。入村教授らは約300種類のレクチンを集めた。細胞診断などに役立てられる可能性があるという。

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